とある山の中に、一人のオガ娘が住んでいました。
オガ娘はずっとエル娘と仲良くなりたいと思っていました。
そこで、
「心のやさしいオガ娘の家です。どなたでもおいでください。
おいしいお菓子がございます。お茶も沸かしてございます」
という立て札を書き、家の前に立てておきました。
しかし、エル娘たちは疑い、
誰一人としてオガ娘の家に遊びに来ることはありませんでした。
オガ娘は非常に悲しみ、信用してもらえないことを悔しがり、
終いには腹を立て、せっかく立てた立て札を引き抜いてしまいました。
一人悲しみに暮れていた頃、
友達のオガ男がオガ娘の元を訪れました。
オガ娘の話を聞いたオガ男はあることを考えました。
それは、
「オガ男がエル娘の村へ出かけて大暴れをする。
そこへオガ娘が出てきて、オガ男をこらしめる。
そうすればエル娘たちにもオガ娘が
やさしいオガ娘だということがわかるだろう」
という策です。
これではオガ男に申し訳ないと思うオガ娘でしたが、
オガ男は強引にオガ娘を連れ、エル娘達が住む村へと向かいました。
そしてついに作戦は実行されました。
オガ男が村のエル娘達を襲い、オガ娘が懸命に防ぎ助けます。
作戦は成功し、おかげでオガ娘はエル娘と仲良くなり、
エル娘達はオガ娘の家に遊びに来るようになりました。
エル娘の友達が出来たオガ娘は
毎日毎日遊び続け、充実した毎日を送りました。
だが、オガ娘には一つ気になることがありました。
それは、親友であるオガ男があれから一度も遊びに来ないことです。
今エル娘と仲良く暮らせているのはオガ男のおかげであるので、
オガ娘は近況報告もかねてオガ男の家を訪ねることにしました。
しかし、オガ男の家の戸は固く締まっており、
戸の脇に貼り紙が貼ってありました。
それは
「オガ娘さん、エル娘たちと仲良くして、楽しく暮らしてください。
もし、ぼくが、このまま君と付き合っていると、
君も悪いオガ娘だと思われるかもしれません。
それで、ぼくは、旅に出るけれども、いつまでも君を忘れません。
さようなら、体を大事にしてください。ぼくはどこまでも君の友達です」
というオガ男からの置手紙でした。
オガ娘は黙ってそれを2度も3度も読み上げ、涙を流しました。
その後、オガ娘がオガ男と再会することはなかった。